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ここでは、治療家の方向けとして、当研究会の知的財産の1部を提供したいと思います。

〇痛みという感覚の形成に関わる炎症への対応策の導き方

痛覚形成には、炎症という組織的現象が多少なりとも関わっています。

昨今の痛覚解消を目指す治療行為の多くは、この炎症という過程に注目を置いた対応策が展開されていることが多いように思われます。

炎症のメカニズムを知った時、そこにある生理現象をどれだけ反映した対応策をとることができるのか?これをお読み頂いている治療家の皆様、いかがですか?

多くの方は、アイシングや消炎剤の使用や血行促進とお答になると思われます。

なぜですか?なぜ血行促進なのですか?なぜアイシングなのですか?炎症反応のスピードを下げるためですか?それぞれ理由はあるでしょうが、その理由は本当に痛覚の解消という目的に直接結びついていきますか?

血行促進論の方、なぜ血行を促進すると痛覚が減少するのですか?または、どーして貴方の治療行為で血行は促進されるのですか?

大変意地の悪い質問でしたね!失礼いたしました。

この形式の質問では、完璧な答えなど出せないことは承知しております。

実質的に効くという証明はできたとしても、論理上では見方を変えない限り答えをだすのは困難でしょう。

なぜなら、痛覚とは、神経系の醸し出した意識上の表現であり、極端な言い方をすれば、神経機能の1つの概念として存在し、局部、局所の状況を持ってその全てを論ずることのできないものであるからです。

炎症というメカニズムは、局部に発生する生理現象です。

概念(認知・認識)としてしか成立しない痛覚機能ではなく、局所現象です。(広範囲であっても実質的には同じことです。)

つまり、痛覚という概念の解消に、炎症という局部の生理現象のみで立ち向かうこと自体に無理があるのです!  ドン・キホーテみたいなもんですね(笑)

ところが、我々、動作学研究会の論理では、実質的にも論理的にも痛覚解消の1手段としての炎症への対応策の必要性や信憑性の説明をつけることができます。

それはなぜか?

それは、痛覚をはじめ、身体に起こる全ての変化を神経活動という見地から捉えていくからです。

つまり、炎症も何もかも、痛覚という概念を掲げた場合、それに参加する神経の活動様式の1表現であり、または、その評価であると考えてしまうのです。

神経生理学の見地から観れば、炎症も、治療行為も、脳に対しては身体の情報として伝えられ、痛覚を作り出すか否かの判断材料として取り扱われている神経活動様式に過ぎないのです。

炎症という現象でさえ、実質的にその現象を支配しているのは、やはり神経系の活動です。

神経の活動様式は、単体としての伝達過程をみれば次の組織の活動性に対してONかOFFであり、このように考えると、全ての治療行為も痛覚の形成に対してONなのかOFFなのかと捉えることができます。

つまりコンピューターと同じ2進法です。

その概念に従うならば、痛みへの対応策として、炎症の解消を考えた場合、炎症中の生理現象を把握していれば、どのような情報を入れるとその現象を転換できるのかが想像できるわけですから、その中のどれを、どのように、用いるかという選択になるだけなのです。

あとは、その考えの是非を結果から判断し、調整をとるのみです。

この考え方をもってすれば、ほとんどの治療行為の効率性を考えを持たずに行っていた時よりも高めることができるはずです。

考え方を記しただけでは出し惜しみをしているように取られそうなので、会員の皆さんには知的財産の放出を怒られるかも知れませんが、具体的な私達動作学研究会の痛覚解消の1手段としての炎症への対応策を少し記しておきます。

具体的な私達の治療方針としては、炎症という局所症状が、現在、どの程度痛みという感覚に関わっているのかを、問診・視診などを通じて推察し、手技療法の力学的要素を調整することで対応していきます。

ほとんどの炎症は、他動的運動療法という行為(情報)の力学的要素の調整のみで、消退していきます。

もちろん、アイシングなどの手段も必要に応じて用いますが、多くの場合、第一手段としてASC運動療法を用います。

なぜ、第一手段として他動的運動療法を用いるかと申しますと、自らの治療行為とその評価が一体となっているからなのです。

実に都合の良いことに、ASC運動療法は、筋の持つある種のメカニズムを評価として利用することで、治療行為中に自ら選択した治療行為という情報入力の是非を感じとることができます。

従って、私達動作学研究会では、不確定要素の多い、他の治療法よりも、痛覚解消に対する自らの行為の評価をその場面場面に合わせて感じとることができるASC運動療法を、第一の治療手段として用いることが多いのです。

と、まぁ、ここでは、このあたりまでにしておきます。

もし、この考え方に御賛同頂けたならば、勉強と努力で、私がお教えするまでもなく、私達と同じ手段を身に付けることも可能かと思われます。

どうぞ、私達と共に正確な対応のとれる術者を目指していきましょう。

最後まで御読み頂きありがとうございました。

下間

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いよいよ動作学研究会の夢が動きだします!

2009.9.3 大阪、京橋に

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